アマンダの軌跡
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(奥様・美直穂さんと(2004家族展)
(美直穂さんデザインのラベル。アマンダ特製ワイン)
(安堵さん(アマンダ技術主任)さんと2020ハンドメイドバイシクル展にて)
千葉洋三師 プロフィール
昭和15年9月24日 東京生まれ。
1966年石渡製作所入社。クロモリのフレームセットを、017,019などと名付けて開発・販売。(フレームの重量が各1700、1900g)。アマンダスポーツの原点がスタートする。
1年後、岡本造船所関連のCRPインダストリーで、レーシングヨットのディンギーなどの製作部門に。ここでカーボンファイバー(CF)に接することになる。
石渡製作所での仕事を継続中、1971年、製作販売した022,017を使用したファンシュプリンゲル選手がボルドー=パリ620kmを16時間19分で優勝。また1973年の世界選手権で、当時圧倒的な世界最強サイクリスト、エディ・メルクスを、やはり017を使ったジモンディが下す“大事件”があった。ここで一気に世界に石渡とChibaの名声が。
これを一つの契機として、東レとの共同研究開発が始まった。1973年、CFによる自転車を製作、特許出願。1975年には石渡・東レ共同開発のCFチューブセットを発売。
1976年のモントリオール五輪で町島選手用017パーシューターを製作など、クロモリの魅力は続いたが、時代を先駆けて、アマンダはすでに新素材に目を向けていた。1982年には40トンカーボンのフレームを開発、翌年には市川雅敏選手がCF・ボロンファイバーのロードフレームを使用。
フレームだけにこだわらず、1984年にはCFによるディスクホイール第一号を製作、三菱しレーヨン研究所とカーボンのスポーク、ウカイリムとカーボンリムを共同開発した。
海外からの要請も増え、1987年にはスポーツの科学研究が最も進んでいた旧東ドイツからもCFのマシン、ホイールのテストを依頼された。
面白いことに自動車メーカーのホンダ、スバル、マツダからも、エネカー開発チームからもディスクホイールの共同研究の要請が届き、応諾。結果は大成功で、世界記録を連発する成果を上げた。またJR東日本の要請で検査官用のサイクルトロッコを設計製作した。
1995年、ついにCF80+40のハイブリッドチューブにまで到達、競輪の飯島規之、稲村成浩選手のトラック用フレームを製作した。
アマンダの研究開発作業はCFに留まらず、人体の強化開発にも領域を広始め、翌1996年にはサイクル用トレーニングマシンとして最も定評のあるSRMシステムの国内販売を開始した。自転車とスピードスケートの強化は酷似した面があり、2001年には冬季五輪スケートの日本代表、清水、武田両選手がアマンダを訪れ、いち早くSRMを導入した。この時、千葉師は二人が五輪メダリストなどとは知らず、ややぶっきらぼうに応対した逸話は有名だ。誰に対しても分け隔て無のない人である。
自転車では、CFサクラディスクホールのユーザー、藤田選手が、2012年のロンドンパラリンピックで、サイクル関係では日本唯一の銅メダルを獲得。
独自の総意研究、数多くの作例をサイクルショーほかで発表し、サイクルストだけでなく業界やマスコミを驚かせてきたが、2006年には「ものつくり」精神の普及を基盤に考えた木製自転車も、「自作用の例作」としてデビュー。サクラ、ヒバ、クルミとCFの複合構造によるもので、この精神こそが2019年から始まった「ミニラボ・アマンダ」にも活かされている。
さらに、現在は筑波大産総研との連携で、伝達効率計測をハード、ソフト両面からの研究開発をすすめている。これはヒューマンパワー、マシンの硬性、振動伝達の動的計測によるレーシングマシンの理想値を探る、世界に例を見ない新領域の研究開発である。
なお、岡本造船所で仕事をした関係から、レーシングカヌーなどにも造詣が深く、木製のパドル、船体の設計製作だけでなく、自身もサーフスキーで葉山=江ノ島を漕ぎ渡った経験も。「軽量の新素材も良いが、長距離では木製のパドルの方がはるかに効率がよくなる」など、一部バイシクルでの発想と同期している部分があり、サイクルとカヌー両方を愉しむ人たちからは、その面でも深い尊敬を集めている。(以上 編集)
記事に残るアマンダの軌跡
♪あのころ、僕も若かった♪
懐かしさはむろんですが、常に欧州と情報を共有してきた千葉洋三師の
視界の広さと視点の鋭さを感じ入ります。
なお、以下の写真pdfは、すべて戸田真人さんの提供です。(編集注)
<注=いずれもpdfで詳細を閲覧できます。タイトルをクリックしてください>>
@ニューサイクリング誌記事
*71年1月号 ヨーロッパプロルート競技 レポート
*74年8月号 73年世界選手権の顔
*85年3月号 ディスクホイール
A石渡製作所時代の関連記事(ニューサイクリング誌)
*74年10月号
*75年8月号
*79年1月号
B「アマンダ」雑誌広告記事(ニューサイクリング誌)
*79年9月号
*82年5月号
*85年5月号
*87年8月号(サイクルスポーツ誌)
いずれも、戸田真人氏提供資料