<<科学研究基地 アマンダ>>
科学研究者としての千葉さん
   
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 即答はなかなか難しい。
 サイクル界では一般的に「極め尽くした自転車職人」とされている。
 アマンダは、究極のオーダーメイドのスタジオだ。

 だから、アマンダを訪れたことのない人は、いかにも腕自慢、文字通り腕組みをして現れる、「おやじタイプ」の職人さんというイメージを抱くかもしれない。
 それは違う。
 むろん、少し詳しい人は、先駆者としての千葉さんを理解している。クロモリ017、019の開発から初めて、世界に先駆けてCF(カーボンファイバー)をフレームの素材として導入。さらにCFだけでなく、木材を使ったディスクに着目。その探求は国際的にも認められ、国内では各自動車メーカー-やJRが、小さな門構えのアマンダに依頼を持ち込むようになった。
 アマンダ製のマシンは世界選手権やオリンピックなどの頂点競技で優秀な成績を挙げ、独創的な作品は毎年のサイクルショーで大きな反響を呼び続けてきた。
 先端的な競技マシンの開発者であり、レストアの名手であり、特注車製造の達人である。
 確かに、サイクル界の、カリスマ職人である。

 しかし、「職人」というイメージは、半分は間違っている。
 実は、まぎれもない「科学者」なのである。上半分はカリスマ職人、その土台となっているのは、明晰な頭脳と未知への解明意欲、フィードバックによる独自の分析手法からなる、サイエンスの極みである。
 


 知られていないが、著名な科学研究所や大学研究室と連携しながら、過去にも学会が注目する論文や報告書を作成、提出してきた。現在も「ヒューマンパワー、こうせい、振動伝達の動的計測による競技要自転車の最適設計」という、世界でまだ例のないテーマの共同研究を進めている。さらに伝達効率計測をハード、ソフト両面からの研究開発をすすめている。
 新素材に目を向けたのも、その科学的精神からの行動であり、単に「売ろう」「時代を先取ろう」といった動機からでは全くない。
 機材や素材を開発するのは、あくまでも学会や論文世界のためではない、世のサイクリストや競技選手がつかってからこそ、なのである。国内に限らず、海外にも「こういうモノを造った」とアピールし、より多くのチームや選手が「次のステップ」に勇敢にチャレンジしていけるよう、”販路”を奥様のミチホさんとともに拡大してきた。そこから、多くの注文や製作依頼が飛び込んできた。「海外のチームやパーツメーカーは、必ずと言っていいほど、実際に使い、テストした結果を、何頁ものレポートを送ってくれる。そこからまた新しいモノ作りが始まった」と、千葉さん自身から開きいたことがある。

 まり「職人さん」の姿は、科学者としてのサイクル研究を土台として表した「姿」の単なる一面であり、千葉さんを理解するには、その「職人芸」の土台を理解することが肝要だ。もちろんそんなことを知らなくても、千葉さんは文句を言わず、いやむしろ知られないことを喜ぶような人ではあるのだが。

マシンだけで無く、人体そのものの強化にも着目し、SRMという計測機器を本格導入して、高いレベルの競技者に提供しているが、一方では高齢者のサイクル愛好家の求めに応じて、折りたたみ小径車も独自設計、「自転車の楽しみはみんなのもの」という信念を貫いている。カーボンが壊れた? 直してあげる、持ってきなさい。返事は気安い。

人と自転車。千葉さんは、いつもこの結びつきを大切にしている人だ。

 トライアスロンやロングライドで健脚自慢のサイクリストも多い。
 アマンダのサークルの中には、「トライアスロンを三回連続する」とんでもないフランスの競技界に招待出場している女性もいる。米国西海岸から東海岸まで19日間でギネス級記録を達成している戸田真人さんのような人(実は人間では無く、仲間内ではアニマルと呼ばれている)も。
 そもそも奥様のミチホさんと「ちょっと」2人ででかけて、200kmの半日帰りは当たり前で、「富士山へ行った」というから、スカイラインに挑戦したのかと思ったら、富士宮からこぎ登ったと笑っている。あれはきつい、皆、なかなかやろうとしない距離と勾配だ。自分で創ったものをロングで実験してくるのだから、パーツ一つにしても、アマンダの技術はやはり味が違うのである。

 かといって、アマンダの千葉さんは、いわゆる小難しいおやじタイプなどでは決してない。腕組みをしてテレビに出てくる「この道数十年」のラーメン屋や寿司屋のご店主たちとも違う。威張らない。来た人は皆仲間である。アマンダに敷居はない。
 横町の蕎麦屋や小間物屋の、自転車屋版であると言っても、千葉さんは決して怒らないだろう。


    {編集・文:アマンダサポーターの末席;後藤新弥(元 日刊スポーツ編集委員/江戸川大学教授)


***千葉洋三 学術論文****

 https://ci.nii.ac.jp/nrid/9000003724995

国立情報学研究所学術コンテンツサービスのインデックスより

   千葉 洋三CHIBA Youzou

ID:9000003724995

アマンダスポーツAmanda Sports Co.(2002 CiNii収録論文より)

408 振動試験を用いた自転車用ホイールの性能評価

斉藤 , 中野 公彦千葉 洋三 , 高橋 直也

中国四国支部総会・講演会 講演論文集 2002(0), 129-130, 2002

360 直交異方性円筒殻理論に基づく自転車用チューブの性能評価

斉藤 千葉 洋三

The performance estimation of carbon tubes used in bicycle frames are discussed. Though several bicycles have a carbon frame, the builder does not know how to estimate the performance very much and de …

Dynamics and Design Conference : 機械力学・計測制御講演論文集 : D & D 2000(abstract), 174, 2000-09-01

20H り手の姿勢と自転車の振動特性の関係

斉藤 千葉 洋三

The effect about the posture of riders on vibration characteristics of bicycles is discussed. Carrying out the excitation test of the human-bicyle system, the frequency responses are measured. Three k …

ジョイント・シンポジウム講演論文集:スポーツ工学シンポジウム:シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス 2000(0), 253-257, 2000

715 振動試験を用いた自転車Rim-Tube-Tyre系の性能評価(G.S. 機械力学・計測制御・システム・教育)

斉藤 千葉 洋三

中国四国支部総会・講演会 講演論文集 005.2(0), 229-230, 2000

自動車走行時の振動特性(1, ロードレーサー車の特性)

斉藤 千葉 洋三

Two kinds of road racer bicycles are employed to research vibration characteristics of driving bicycles. After obtaing the natural frequencies and modes by vibration test in the non-driving state, pra …

日本機械学会論文集. C 00064(00623), 2389-2394, 1998-07

参考文献10

自転車走行時の振動特性

斎藤 千葉 洋三

自転車技術情報 (70), 92-110, 1996-07

被引用文献1

自転車の運動性能と振動特性の関係---車と一般車の振動特性の比較,その2 (ジョイント・シンポジウム1995--スポ-ツ工学シンポジウム・シンポジウム:ヒュ-マン・ダイナミクス) -- (スポ-ツ工学シンポジウム1995)

斉藤 , 霜見 千葉 洋三

ジョイント・シンポジウム 95(45), 33-37, 1995-1

ディスクホイ-ル自転車の走行時の振動特性

斉藤 , 広瀬 信光千葉 洋三

自転車技術情報 (67), p42-58, 1995-03

被引用文献1

世界選における自転車テクノロジ-の考察

千葉 洋三

自転車技術情報 (65), p14-21, 1994-09



論文 ウイールの振動特性に関する解析と解析図 千葉洋三

CF(カーボンファイバー)ディスクイウイール、ウドゥン(木製)36Hテンションスポークウイール及びアルミリム36Hテンションスポークウイールの3点の振動特性を実験研究し、比較解析した。結果的にディスクホイールの振動特性の優秀さが明らかになった。

*コメント* この論文は30年前の研究結果だが、今サイクルスポーツの世界でわかってきたのは、「ロコモティフタイプとコンプレッションタイプの組み合わせ」が最も高性能であること。ただし、残念ながらこの組み合わせを裏付ける解析データはまったく無し。いずれ18チャネルデータ解析のハードパートを駆使して説明できる時代がやってくると思います。

 ウイールの振動波形 5気圧チューブラータイヤ付き 1990年7月13日調査

1。 CF ヒノキ ディスクウイール
高周波の雑音がなく一つの共振点しか持っていない。際立った性能を示す。 

2。 テンションスポーク36H 木製リム
高周波のパワーは大きいけれど ピークが鈍いため減衰は大きいと考えられ 雑音としての性質はさほど大きくない。


3。 テンションスポーク36H アルミリム
高周波のパワーならびにピークの鋭さ 位相の大きな変動から雑音としての性質が強く出ている。


(注=振動特性のグラフを比較すると、ディスクの特性の良さが一目瞭然である。すでに30年前の立証実験であることに留意))